陶芸を中心に愛犬柴犬、趣味の家庭菜園、釣り、テニスなどを画像入りで書いていました。今は花・自然・テニス・釣り・料理・旅行などを日記風に綴っています。

歌集『思川の岸辺』(小池 光著)を読んで
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         思川の岸辺を歩く夕べあり
                 幸うすかりしきみをおもひて  小池 光


先日、友人からお借りして、上掲の歌集を読みました。
本の帯には次のように書かれていました。

   長年連れ添った妻を亡くし、
     茫然自失と過ごす毎日。
      偶然出会った思川は
  ふしぎと安らぎを覚える川だった。
     一筋の流れは時間であり、
     区切りでもあるのだろう。
         死別から五年、
  再出発を期して送り出す第九歌集。

また、あとがきには

 ・・・・・2010年の10月に、癌で妻和子を亡くした。癌が見つかってから、闘病2年10ヶ月であった。
 妻の死は、大きな大きな衝撃となった。わたしの人生は、ここに歴然たる区切りを迎え、以後の生活は一変した。区切りを区切りとして受け止め、さらに新たに前に進まねばという気持から、その死から5年を迎えるいま、本集を編むことにした。・・・・・

私が癌で妻を亡くしたのは、2010年の7月でした。乳がんの手術を2年前にしました。
よく似た境遇であります。
そういうことがあって、友人がこの歌集を紹介してくれたのだと思います。

  裕子さんの死をつひに告げ得ざるまま秋に逝きたりわが妻和子  小池 光

裕子さんとは、歌人河野裕子さんのことです。

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河野裕子さんは、2010年8月がんで死去しました。

河野裕子の最期の歌と夫永田和宏の挽歌は、以前にブログで紹介しました。

  手をのべてあなたとあなたに触れたきに息が足りないこの世の息が           
 

                                         河野裕子

  あほやなあと笑ひのけぞりまた笑ふあなたの椅子にあなたがゐない  

                                         永田和宏

こうして思い出しているうちに、私の涙は止まりません。

思川の岸辺』に戻ります。

  十五歳夏のはじめの出会ひにて四十八年のちのわかれぞ   小池 光

幼馴染のご夫婦だったのですね。
48年の歳月は、長いようで短いと実感します。

  わが和子の幸とおもへよ原発も大震災も知らずに逝きぬ    小池 光

私もそんなことを思いました。
宮城県出身の小池さんは、「幸(さち)とおもへよ」という、特別な感慨となったのでしょう。

  亡くなりしことを伝へて妻に来し賀状に返事われは書きたり   小池 光

賀状やメールの返信は、私も書きました。

  ああ和子悪かったなあとこゑに出て部屋の真ん中にわが立ち尽くす 小池 光 

私の亡き妻は、七人兄姉の末っ子です。
ですから私は、妻にも兄姉にも、すまないという気持ちを強く持っています。

  雨の日はもんしろてふはどこにゐむ草葉の陰に何してをらむ   小池 光

小池光さんの歌は古語表現なので、わたしより年輩の方と思いました。
実際は、私より7才お若い方でした。

  霧雨のくだれる中に傘さして曼珠沙華の花みてゐる男   小池 光

曼珠沙華(彼岸花)が咲いていると、足が留まります。

  五つある椅子のひとつに猫座るかならず同じ椅子に座れり   小池 光

わが家の愛犬ジョリーは、広縁に置いたマッサージ機を占拠していました。

  歳月の過ぎ行くはやさ柿若葉かがやける日はきのふのごとし   小池 光

富田の旧家の隣人に、歌を詠む方がおられました。
歌集『柿若葉』を自費出版し、私にも一冊くださいました。

  耀ける柿の若葉に包まれる時は来にけり古りしわが家に   坂本美代子

その時期、お宅の前を通るたび、「耀ける柿の若葉」の美しさを実感していました。
私の富田での生活は34年、マンションンに引っ越して、はや5年が経ちました。

  たくさんの鉢をならべて花植ゑし人は世になし鉢ぞ残れる

  こんなにもまぶしくことし花つけし秋明菊にきみに声かく   小池 光

花をこよなく愛した和子さんだったようです。

  秋天にやまばとのこゑひびくときおもかげたちて恋しかりけり   小池 光

歌集『思川の岸辺』の掉尾を飾る歌です。
この歌集を紹介し、貸してくれた友人も深い感動を受けたと、話してくれました。
因みに、その友人は奥様もご健在です。

   雪原に犬を放てる人をりてひとごとながら胸すくおもひ

友人は「人ごとながら」、私のことを感じてくれています。
とてもいい歌集を紹介してくれました。

     2015.12.30               くまお
  

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